在宅医療では病院と比べると診断と治療を行う場面は少ないですが、時にそれらを要する場面があり、稀に劇的に良くなる場面があります。この方は食べられない、動けない、家で最期を迎えたいということで病院から紹介されて在宅医療開始となり約1ヶ月経ちましたが、徐々に回復して今や以前と同様に歩いて、食べることができます。原因は胃切除後のビタミンB12欠乏症で、ビタミン剤投与だけでどんどん良くなりました。こちらの飼い猫も慣れてくれて、撫で放題になりました。
歳だからしょうがないという場面はたくさんあるのですが、そんな中でも介入によって回復・向上する場面は少なからずあります。医療だけでそれが叶う場面は多くなく、多くは住んでいる場の力やケアマネジャー、看護師、介護職といった他職種の力を合わせて叶うことが多いです。一方で、悪化していく場面においては医療だけが原因ということもあります。在宅医は病院の医師と比べると相対的に出来ることが少なく、役割が限定的ですが、ここぞの場面で適切な介入をする、不適切な介入をしないという非常に重要な役割があると思います。