出会いは2019年。入院していた夫を連れて帰って自宅で看取るか否か、その重大な決断を一人でしなければいけない中で体調を崩して外来を受診したのが最初。自身でその決断はついに出来ず夫と死別し独居となり、そこからは喪失の日々。認知機能の低下はなく、ADLはなんとか自立していたため介護保険サービスはほとんど使えず、また使う決断も出来ず。当院の訪問診療と訪問看護のみ繋がり、ずっと定期的に関わってきた。彼女の喪失感は医学的には埋めることは出来ず、出来たことは繋がりをずっと維持すること、つまり定期的に会いに言って他愛のない話をしてお茶を飲む、そういった関係性を続けて来たことだけだった。果たして診療報酬に見合ったことが彼女に対して出来たのだろうかと思い返すこともしばしばあったが、最後にいただいたお茶に添えられた、短いながらも想いを込められたこの手紙を読んで、良かったのかなと思った。
どうか残りの人生、子どもや孫たちと一緒に健やかにお過ごしください。