6月11日夕方の時間を利用して、森實 将さんにお越しいただき「DeliSofter(デリソフター)」のデモを実施していただきました。1枚目の写真の中央奥に見える黒い機械がそれです。これは、様々な料理を舌や歯茎で押しつぶせるほどに柔らかくすることのできる調理器具です。原理としては圧力鍋と似ています。
この調理器具は食材を加工したり調理したりするものではありません。出来上がったメニューを、嚥下や咀嚼機能が低下した方向けに柔らかくすることが可能です。写真に載せたようなコンビニで売っている主菜や副菜をDeliSofterに入れて所定の手順を踏むことで非常に柔らかくなります。「見た目と味が変わらないこと」が非常に大きなアドバンテージだと思います。
咀嚼機能や嚥下機能が低下した方にはミキサー食やペースト食、トロミ食など常食ではない食形態が提供される場面がしばしばあります。これらの技術の進歩は目覚ましいものがあり、以前と比較すると見た目も味もかなり向上していると言えます。しかしそれでも常食と比較するとかなりの違いがあります。食事は五感全てを使って楽しむべき日常のイベントであり、見た目が悪いとそもそも食欲が湧きません。味が悪くても同様です。「あいーと」のように見た目が常食と変わらないような食事もありますが、ご存知の方も多いと思いますが毎日続けられる値段設計にはなっていません。
DeliSofterを使うことで普段食卓に並ぶメニューを他の家族と一緒に並べて食べることができるようになります。咀嚼・嚥下機能が低下した方のために食事を改めて作る必要がなくなるため介護者の負担が軽減されます。家族と同じ物を食べたいという希望を叶えることも可能です。咀嚼・嚥下機能が低下しても食べたいものを食べたいと願う人の助けになること間違いないでしょう。診療所として1台購入しようと思います。
専門性というものは相手の不安や苦痛を軽減し、より良く生きられるように手助けするために存在するもので、論理的妥当性や安心安全を振りかざして生き方を制限するものではないはずです。たくさんの引き出しを持ち、様々な人のニーズに応えられるようにし続けていきます。